2010年3月29日

「帰る!」事件

   

あれは息子が1歳3ヶ月の頃。
私は子育て支援プログラムに申込んだ。
実際に始まったのは
その1~2ヶ月後だった。
そのプログラムに参加し
いろいろ勉強になった。
1ヶ月半程の期間であったが
参加して良かった。
プログラム終了後も
その時のメンバー達とは
月に数回みんなで集まり
子供達と遊んだり
ママ達とおしゃべりしましょう
という会合が儲けられた。
しかし集まっても
息子は私にピタリとずっと張り付き
他のお友達のように
遊んだりしない。
私も息子の事が気になり
ママ達とおしゃべりできない。
そんなことが続いた。
でもある日
息子に関係なく
私はその会合で
自分の居場所がないように感じ始めた。
話の輪の中にいても
自分だけ浮いている気がするのだ。
しかし息子には同じ年代の子供達との触れ合いが必要。
息子の為にも
こういう会合には参加しないとね。
そのうち馴染んでくるだろう。
漠然とそう思っていた。
息子が1歳9ヶ月の
ある会合の日だった。
その日の会合は
息子が大好きな施設で行われた。
事情があり
一般解放してない日に
特別に我々に解放してくれた。
なので使用できるスペースも
いつもより狭い。
私はその日遅刻して行った。
まだ全員集まっていない。
息子は大好きなお絵かきのコーナーへ行こうとした。
しかし特別解放の為
お絵かきコーナーは閉鎖されていた。
私は息子に言い聞かせ、
その隣にあった
ままごとのコーナーへ連れて行った。
そこには3人のママ達がおしゃべりしていた。
ひとりのママが
彼女の息子に手を引かれ
別の場所へ移動していった。
私とそのママは
目配せと笑顔で挨拶した。
残った2人のママの近くに私が腰を降ろすと
その2人は突然立ち上がり
去っていった。
何の挨拶を交わすでもなく。
彼女たちは別のところでおしゃべりしてた 
ママ達のところへ合流した。
そこは5~6人のママ達のおしゃべりの輪になった。
また別のところでも5人程のママ達がおしゃべりしていた。
私ポツンとひとりになった。
この集団とは必要最低限の付き合いに留めることにしよう。
私は息子やその周辺にいる子どもたちと遊んだ。
しばらくして
ママ達は全員で輪になり
ある打ち合わせを始めた。
息子はいつものように私の膝の上にいた。
しばらくすると
息子は立ち上がり
どこかへ行ってしまった。
私が追いかけると
そこはロッカーがあるところ。
息子は私のコートとカバンを
ロッカーから引きずり出し
こう言った。
「帰る!」
私は耳を疑った。
息子が「帰る」という言葉を知っていること
「帰る」と発することが出来ること
息子が大好きな大好きな施設にいるのに
「帰る」ってどういうこと????
でも息子は
「帰る」
と何度も言い
玄関の方へ向かってしまう。
私は思った。
「もうこの集団との付き合いはやめよう。」
私は息子をなだめ
とりあえず打ち合わせが終わるのを待って
一足先にその会合を後にした。
その翌日。
その施設はいつものように一般開放していた。
息子は一日何度もその施設名を出して
遊びに行きたがるのに
その日は夕方5時30分位になって
やっと施設名を口にした。
結局その日は一歩も外に出なかった。
その後は
またいつもの息子に戻った。
息子を「帰る」と言わせたものは一体何だったのか
今でもわかりません。
息子はあの日以降も一度も
「帰る」と言ったことはありません。
大好きな施設にいたのに
「帰りたい」と思わせることがあった。
気づいて上げられなくてごめんね。
私はこの話をすると
涙が出てきてしまう。
私がどんなところに連れ回しても
その中から自分の遊びを見出し
子供は遊びの天才とつくづく実感させられる息子が
「帰る」と叫んだあの日のこと。
いつか息子と普通に会話できる日が来たら
息子があの日のことを覚えていたら
きちんと聞いてみたい。




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2 Responses to 「帰る!」事件

  1. まいける

    2010年3月30日 3:40 午後

    初めまして。
    現在1歳9カ月の息子の母です。
    出産前より拝見させて頂いておりました。
    読んでいる途中から私も泣いてしまいました。
    おそらくfirstさんは周囲のそんな態度に対して、
    感情を表に出したりされてなかったでしょう。
    なのに息子さんはきっと、その場が良くない雰囲気や空気を醸し出しているのを、繊細な感覚で敏感に感じ取られたのだと私は勝手に思えてなりません。
    大切な大好きなfirstさんを守りたかったんだと思います。
    独身の頃と違って子供ありきの人付き合いが多くなりますよね。 そんな中でも、firstさんがおっしゃるように、自分と合わない・馴染めない方達とは必要最低限でほんと良いと思います!
    初のコメントで長々とすみません。

  2. first

    2010年3月31日 2:53 午前

    ☆☆まいけるさん☆☆
    はじめまして。
    長文のコメント、ありがとうございます。
    この「かえる!」事件は、私にとって本当に衝撃的な出来事でした。
    まいけるさんがアドバイス下さったように、息子が私を守ろうとして「帰る!」と言ってくれたのなら、息子が辛いおもいをしたのでなく良かったという安堵の気持ちと同時に、息子の優しさに涙が出るおもいです。
    実は子育てのことでいつも相談にのってもらっている方にも、この話を聞いてもらいました。
    するとまいけるさんがアドバイス下さったのと同じ内容のことを言われました。
    そして、次のような事も言われました。
    “子供が学校に行くようになるとどうしても付きあわなければならない場面も出てくるが、(子供が1歳の)今はママが笑顔でいられる場所が子供にとっても楽しい場所なのです。”

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